『学び合い』 流動型『学び合い』 学びのカリキュラム・マネジメント アクティブ・ラーニング

nao_takaの『縦横無尽』

小学校教員なおたかのブログです。『学び合い』(二重かっこ学び合い)を実践しています。単著「流動型『学び合い』の授業作り」を上梓しました。お手に取っていただければ幸いです。

書くことの効果

書くことにどんな効果があるのか。
わたしにも段々と見えてきました。
一言で言うと,「思考は表現してこそ鍛えられる」ということです。


算数では式や図を言語で説明するのはよくある学習だと思います。
例えば,7+5の足し算。
わたしが見てきた多くの授業では,ブロックを使って解き方を考えていました。それに加え,
○○○○○ + ○○○○○=○○○○○
○○            ○○○○○
              ○○
なんていうように,アレイ図を書くことも多く行われているかと思います。
もちろん,これらの指導は重要です。が,これだけでは,足し算の学習としては不十分です。大切なのは,これらを「言語化」することです。
「まず,5を3と2に分ける。次に7と3を足して10。10と2で12」
というように,ブロックやアレイ図を活用しながら言語化する活動がないと,身に付きません。
こういった「図を言葉で説明すること」は,算数ではよく行われている学習ですし,一斉授業時代も,わたしは大切にしてきました。
低学年の頃からこういった活動を通して,数をとらえる「感覚」を鍛えておかないと,高学年になってから非常に厳しくなってくるよなあと,高学年を持つことの多いわたしは思います。文部科学省が「言語活動の充実」と言ったり,「思考力・判断力」と「表現力」がセットになっていたりするのは,そういうことなんでしょう,きっと。
で,子ども達に毎日のようにレポートを書かせていたら,だんだんと分かってきました。何かというと,これって社会や国語でも同じなんだな,ということです。
レポートを書いている中で,子どもたちが図や写真を言語化し始めたのです。


例えば,社会。最近では,東京オリンピックと高度経済成長に関する学習で,教科書に載っている写真を基に,語れるようになってきました。
「終戦から20年も経ってないんだよ。それなのに,(写真を指さして)ほら,こんな高速道路ができたわけだから,そりゃあ,外国の人たちも驚くでしょう?」
「こっちの写真(新幹線)もか。こういうのを見て驚いたってことね」
「何で驚くの?」
「普通驚くでしょう?だって,前はこんな(空襲後の写真)だったんだよ?」
「あー,復興したってことか!」
「そうそう。で,この工場の写真は?」
「あ,分かった。こういうのを作るにはお金がかかるでしょう。だからさ,工業を盛んにして,経済を発展させるってことだね」
「こっちに貿易の事が書いてあるよ」
なんていうように,写真やグラフをちゃんと「読める」にようになってきました。
今までは,なかなかそういう読み方をさせることができませんでした。無理やり読ませていた面もありました。


なぜ今になって可能になったのかというと,答えは簡単で,そうしないと書けないレポートを書かせているからです。
どんなレポートかというと,この時間で言えば,「東京オリンピックを見に来た外国人の驚き」→「新幹線や高速道路に代表される日本の復興」→「それを可能にした産業の発展と所得倍増計画」→「その影響で引き起こされた公害問題」というストーリーのレポートです。
子ども達には「文章ではないものを,文章化できるようにしよう。物語のように,ちゃんとストーリーのある話をしよう」と言っています。子ども達が書いた物は,個人情報の関係で,ここには載せられないのが残念。


残念ながら,一般的な授業では,数名の児童や教師が説明するだけで,ほとんどの子は聞いてお仕舞いです。
『学び合い』や協同的な学習では,説明する機会が大幅に増えますから,「ラーニングピラミッド」で言われているように,学習効果は上がると思います。でも,証拠が残らないのが話し言葉の弱いところ。問題を解かせてみたら,解けない。書かせてみたら,全然書けない。なんてこともありました。


その辺りのあやふやさを克服する上で,「書く」というのは非常に有効だなあと実感しています。
さらには,「こういうことを書けるようになれ!」というのは,課題として非常に優秀です。課題がブレません。
『学び合い』の過去の実践を調べてみたら,「教科書を作る」「テストを作る」など,書かせる課題が沢山出てきました。元々,「書く」ということと『学び合い』は相性が良いのだと思います。それらもネタとしては面白いし,魅力的なんですが,多分,毎単元・毎日・毎時間行うのは難しいんじゃないかな,と思います。時数の問題や,学習内容との兼ね合いもありますから。

毎日書かせる。
とてもシンプルですが,続けるのはなかなか大変です。でも,続けることで,子どもたちが学びを折り重ねていくのが見て取れます。