『学び合い』 流動型『学び合い』 学びのカリキュラム・マネジメント アクティブ・ラーニング

nao_takaの『縦横無尽』

小学校教員なおたかのブログです。『学び合い』(二重かっこ学び合い)を実践しています。単著「流動型『学び合い』の授業作り」を上梓しました。お手に取っていただければ幸いです。

教材研究

教材研究という言葉があります。
学び合う集団を作れるかどうかと教材研究はあまり関係がないけれど,学び続ける集団を作るには,教材研究は必要だと思っています。
学び合う集団を「もっと!」と求めるには,「その教科が得意な子」もそう簡単にはクリアできない課題が必要だからです。


わたしは,教材研究を
1.教材開発
2.教材理解
3.授業計画
に分けて考えています。


1.教材開発
これは,その名の通り,教材を開発することです。例えば,
・繰り上がりの足し算を「さくらんぼ」以外の方法で指導しよう!新たな指導方法はこれだ!しかも,ブロックではなく,新たにこの道具を使う方が良い!
とか,
・6年生の物語文の学習では,教科書のこの教材文よりも,こっちの話の方がねらいに適しているぞ!
とか,そういうレベルで新たな「教材」を作り出すことです。こんな研究ができている現場の教師はそうそう居ないでしょう。わたしも,やってみたいと思いつつ,でも,なかなかやれていません。まあ,そんな必要がないからやらないとも言えますし,過去にやってみて,「労多くして益なし」だったというのもあります。
また,教材開発まではいかないまでも,「あの先生の実践をまねてみよう」というのも,広い意味では教材開発になるかと思います。

2.教材理解
これは,「教科書のこの活動は,学習指導要領のこのねらいを達成するために設定されているんだな」とか「この教材文は,こういう良さがあるから採用されたんだな」とか「教科書のこの写真は,こういうことを考えさせるために載せてあるんだな」というように,教科書や学習指導要領に書かれていることを,教師が理解するための作業です。
わたしは,教科書と指導要領を見ながら,一単元分の課題を作る作業を通して,これを行っています。
これをやると,授業中,子ども達の学びにどんどん「口出し」できるようになります。
「ここが足りないなあ。ここをもっと見てごらん」「この写真とこの写真の違いは何?」なんていうように,子ども達の学習の足りないところが見えてきて,もっと!と求めることができるようになります。また,「お!良いね。良い所に目を付けたね」なんていうように子ども達の背中を押すこともできるようになります。

教師がどんなに準備をして授業に臨んでも,それを超える発見をする子どもが居るものです。それが授業の醍醐味だとも思います。
とは言え,それは教師が授業の準備をしない免罪符にはなりません。課題を提示する=ゴールを設定する,のが教師の仕事です。子どもに「本当にそんなゴールはあるんですか?」と問われ「知らん!」と言うのではお話になりませんから,少なくとも,その課題に到達できる!という見通しをちゃんと持っていなくてはいけないし,子ども達が道に迷ったら「あっちに向かってごらん」と言えなくては,子ども達の信用を失うと思います。(わたしは,その見通しが持てない時に「キミたちならできる。シンジテイルヨ!」なんて言ってしまったことがありました…。反省)

ちょっと話がそれますが,『学び合い』のことを紹介すると,「子どもが勝手に勉強する」と勘違いされてしまうことが時々あります。それで「そりゃいい!楽な方法だ!」と思われても,「そんなのは教師の怠惰だ!」と思われても,どちらも迷惑な話です。先を見ているから,「先生」なんです。(「先」を「生」きているってことです!)


3.授業計画
一般的には,授業前に計画しておくこととして,主発問を練ったり,板書計画を立てたりすると思います。また,学習形態をペアにするか,グループにするかなんてことを考えたりすると思います。
でも,『学び合い』では重要でなかったり,子ども達が考えたり,どうでも良かったりしますよね。
わたしが授業に向けて行う準備は第一に「語り」です。多くの場合,1時間目の始まりに子ども達に語りかけています。それをどれだけ練るか。わたしの授業は,そこに成否がかかっています。ですから,「この時間に,こういった語りを」という計画はしっかりと立てます。
最近は,それに加えて,レポートの「型」を子ども達にどう学ばせるかも計画を立てています。子ども達のレポートに目を通しながら,「この学習の前に,この点はもう一度指導しなくてはいけないな」なんてことを考えています。


若い先生には,特に「2」をおススメします。わたしも最初は「1」に心血を注いでいたこともあります。でも,それが上手くいくのは,現在ある教材のことが十分に理解できている方だけです。
教科書=つまらない。
そういう思い込みで目新しい教材に食いついても,実は教科書以上につまらないことをやっている授業を見たこともありますし,わたしもやってしまったことがあります。
それも勉強ですけれど。


あと,学級に主体的に学ぶ姿勢が育っていない学級だと,どんな教材でも,あっというまに消費されてしまうだけですけどね。