『学び合い』 流動型『学び合い』 学びのカリキュラム・マネジメント アクティブ・ラーニング

nao_takaの『縦横無尽』

小学校教員なおたかのブログです。『学び合い』(二重かっこ学び合い)を実践しています。単著「流動型『学び合い』の授業作り」を上梓しました。お手に取っていただければ幸いです。

言い訳からスタート

昨日の「あしたの会(福島県相馬市で高橋が開催している学習会です)」で中学校の『学び合い』実践者さんから質問を受けました。

 

Q 子供達は一生懸命に学習している。しかし、教え役の子がいるグループはしっかり理解できているものの、そういう子がいないグループはなかなか理解ができていない。どうすれば良いのか。

 

というものです。ああ、ありますねえ、そういうこと。以下が私が話したことです。

 

私の経験上、『学び合い』の最初期、子供達は4~5人のグループを作ります。休み時間の仲良しグループと同じような感じです。私が今まで見てきた学級はどこもそうです。そういうものなんだと思います。

4~5人グループ状態だと、問題点が2つあります。

一つは、今のお話の通り、そのグループだけでは課題が達成できない場合がある、ということです。

もう一つは、その状態だとどこのグループにも入れない子が絶対にいる、ということです。

ということで、早くその4~5人グループを打破したいですよね。そのために何をするかと言えば、「語る」しかないのです。「4~5人グループに分かれたままだと、絶対に対立が生まれるよ。このグループを打破することで、もっと生活しやすい集団になるよ」と。グループに分かれていると、なぜだか知りませんが、必ず対立構造が生まれます。例えば、体育でサッカーをやるのにチームに分かれると、それだけで対決ムードになることもあります。で、体育が終わるとすぐにノーサイド。不思議ですねえ。なので、「別れている」だけで生きにくいんだと思っています。

学級の中には、それを理解してくれる子がいるはずです。もちろん、全員が理解を示すことはありませんが、全員が無理解ということもあり得ません。そういう子が、グループの枠を超えて

「ちょっと教えてよ。」

とか

「どう?分かった?」

とか言えるようにするのが授業者の役割です。そのために、繰り返し

「グループに分かれていると損だよ」

「このクラスをチームにしようぜ」

と語り続けることで、子供達の一部が

「先生がああ言ってしつこいから、仕方なく動いてるんだよ」

と言い訳できる状況を作るのが私の作戦。最初は「先生がしつこいから仕方なく」からスタートなのです。数人がそんな言い訳をしながら動き始めると、

「一人では動けないけれど、他に何人かが動いていれば動きやすい」

という子も動き始めます。そういう子が動き始めれば、どんどん雪だるま式に動く子が増えていくことになります。(このあたりの変化は、京都大学霊長類研究所の正高信男氏のいじめを例にした「臨界質量」の考え方が参考になります)

集団の中に「そうだ!先生の言う通り、一人も見捨てないことが大切だ!」と最初から思ってくれる子なんてそうそう居ないと思います。ですから、「先生がああ言ってしつこいから、仕方なく動いているんだよ」と最初に動く子が言い訳できるくらい何度も本気で求めないと、なかなか4~5人グループの壁を超える子は生まれないでしょうね。私の経験ですが、トップランナーとなって『学び合い』をぐいぐい引っ張ってくれている子にも

「最初は(この先生、何言ってるんだろう。変な先生にだなあ)と思っていました」

と言われたことがありますから。

 

 

多くの時間を担任と過ごす小学校教員は、「しつこく語りやすい」というメリットがあるとは思います。けれど、教科担任制には教科担任制のメリットがあるはずです。私だったら、すぐにやりたいですね、自分が担当している学級の合同の『学び合い』を。相乗効果で、どのクラスも高まるのが目に見えていますから。

なんて言ってないで、私もぼちぼち勤務校での合同『学び合い』の計画を練らなくちゃいけません。頑張りまーす。