『学び合い』 流動型『学び合い』 学びのカリキュラム・マネジメント アクティブ・ラーニング

nao_takaの『縦横無尽』

小学校教員なおたかのブログです。『学び合い』(二重かっこ学び合い)を実践しています。単著「流動型『学び合い』の授業作り」を上梓しました。お手に取っていただければ幸いです。

また、下書きです。

 

3 授業観

 

では、これらの学校間・児童観に基づく授業は、どのような形になるでしょうか。
8 割の子どもが何らかの形で知識や技能を得ており、さらには学校とは多様な人間との折り合いのつけ方を学ぶ場だと考えるなら、そのメンバーの多様性を可能な限り生かす方が、その学びは豊かになります。そして、その多様性を生かすための第一歩は、「やり方を任せる」ことです。
私はそれを、「登山」に例えています。 

従来的な一斉授業とは、授業者が子ども達を山の頂上に引率して連れて行くようなイメージです。授業者の個性によって、整然と集団行動をとって登る授業もあれば、歌いながら登る授業、グループ毎に登る授業などがありそうです。でも、基本的には、頂上に登るルートは授業者が指定します。子ども達は授業者が想定した方法によって、目的地まで登っていきますが、残念なことに、多くの授業では、目的地にまで辿り着くことなく終わります。その証拠に、研究授業のほとんどが「時間切れ」です。
『学び合い』の授業では、授業者が旗を立てるのです、「この山のあそこがゴールですよ」というように。その上で、「あそこまで行ってくださいね、はい、どうぞ」と任せます。

ですから、ゴールを示すこと= 課題設定は必須です。課題の設定がなければ、子ども達は全く学べないか、もしくはとりあえず何か活動はするけれど、迷いに迷ってさまようだけで終わってしまいます。

この時、「いや、子ども達だけで頂上に達するのは無理だ」と考えるか、「子ども達だけでもできる」と考えるかの違い=子ども観の違い が、明確になるかと思います。どちらが良い考えかを論じるつもりはありません。ただ、『学び合い』の教員は「できる」と考えています。そして、できていないとすれば、それは自分の課題設定が悪いか、評価が悪いか、場の設定が悪いかと考えるのです。

 

4 授業の具体的な形

『学び合い』の授業は、基本的に次のような形で進みます。

(1)課題の提示

教員が課題を提示します。最初期は一単位時間毎に課題を提示しますが、学習集団の成長に伴い、複数時間や一単元まとめて課題提示をする場合もあります。『学び合い』の課題はシンプルなほど良いとされています。児童が「何ができれば良いのか」が分かる課題であることは大切です。

ですが、それ以上に大切なのは「全員が課題を達成できることを求める」ということです。「一人も見捨てない」という強い表現を使う場合もあります。集団に対して全員達成を求めるのが、『学び合い』の大きな特徴です。

(2)学習

児童が課題解決のために能動的に学習に取り組みます。その間、教員は何もしていないわけではありません。例えば、『学び合い』の初期には一般的に次のような支援を行います。

① 児童の学習状況を可視化する(誰ができているかを知らせる)。

② 勇気づけの言葉をかける。

③ 良い質問や良い教え方を称賛する。

ただし、これらの支援は数日から数か月で無用となります。それは、こういった支援も児童自身ができるようになってくるからです。

(3)評価

課題が達成できたかどうかを評価します。

この時、最も大切な評価は「全員が達成できたかどうか」です。「今日の課題は全員達成できましたか」と聞きましょう。

なお、この時「分かったふり」をする場合も考えられます。これは、もちろん許してはいけませんが、怒鳴りつけたり、叱責したりすることは厳禁です。問題を一問出して答えられないような子には、勉強が分かったふりは直ぐにばれることを話し、「次は頑張ろう。期待しています」と励ましましょう。