『学び合い』 流動型『学び合い』 学びのカリキュラム・マネジメント アクティブ・ラーニング

nao_takaの『縦横無尽』

小学校教員なおたかのブログです。『学び合い』(二重かっこ学び合い)を実践しています。単著「流動型『学び合い』の授業作り」を上梓しました。お手に取っていただければ幸いです。

可愛い子には任せよ

「進行表」について、もう少し書いておきます。

 

私は、授業を「登山」や「旅行」に例えて考えています。

私が以前やっていた授業は、教員が「先導する授業」です。私が先頭に立って、「よーし、ついておいで!」と引っ張る授業。途中で飽きないように、誰もはぐれないように気を配り、腕を磨いていました。例えば、本当は目的地は決まっているのに「今日はどこに行こうか?」なんて投げかけて、児童が応えると「なるほど。そこがいいね!」なんてあたかも今決めたかのような演技をして、出発したものです。中には着いて来られない子、行きたがらない子もいますが、それは「飴と鞭」で動かします。そのための計画も立てました。もちろん、全てが計画通りなんてことはありません。途中で児童の発言や様子によってルートを変更することはあります。でも、その判断をするのはあくまで私。ですから、「行程表」の類(いわゆる指導案)は、私が作り、私がその中身を知っていれば十分だったのです。児童はまあ「右側通行を守る」とか「サービスエリアで昼食をとる」なんて程度の「歩き方」を知っていれば十分でした。(授業で言えば、授業の課題は赤で囲むとか、課題を書いたら予想を書くなんて程度の「学び方」ですね。)だから、児童は「お客様」。「教育はサービス業」なんて考えていた時期もありますね。

私はそれなりに楽しかったし、間違いなく頑張っていたのですけれど、でも、全く楽しめていない「お客様」を見ているのに耐えられなくなっていきました。

 

 

今の私の授業は、教員が「提示して任せる授業」です。私は子供達に対して、目的地を提示します。そして、その目的地に到達することがどれほど価値のあることなのかを子供達に伝え「行ってみようかな」と思わせるのが最初の仕事です。でも、最初から全員が「行きたい!」と言う場所なんてありません。ですから、とりあえず「2割の積極的な賛成者と6割の消極的な賛成者がのこり2割を巻き込む」形で進めます。「全員で目的地を目指すチーム」を作るのです。

目的地をはっきりさせるために作ったのが「進行表」です。「ここに進んで行きなさい」というためのものです。例えば、「目的地は東京ディズニーランドだよ」と言っても、チケット売り場前で集合なのか、入場はしておくのか、シンデレラ城前なのか、ハニーハントのファストパスを取りに走るのか・・・。こっちが考えている以上に子供達って色々と考えて迷うので、最低限は示すようにしています。口頭で済ませることも不可能ではないかもしれませんが、私の脳味噌は「紙で指示しないと、指示した気がしない」作りのようです。また、必要最低限の「チェックポイント」も示します。「ホテルのチェックインは済ませておくように」みたいな。

 

私が単元『学び合い』でよくしていた失敗が、「目的地」と「途中のルート」の区別が曖昧になって、学びが窮屈になるというもの。途中の指示が細かかったのです。「○時○分発の○○に乗って、○○で降りて、・・・」なんて感じ。「教員が事前に示したルートで目的地に辿り着くことができる」がめあてになっているような授業。こんな「自由度の低い旅行プラン」では非常に窮屈な旅になってしまいそうです。
また、以前、「○○に向かうなら、絶対に○○を通るはずだ!」と主張する方会ったこともあります。「でも、そこを通らない子がいたらどうしますか?」と質問しました。その方の答えは「そこを通らないなんて、私には考えられない!」でした。まあ、実際にほとんどの子が通るのでしょう。でも、通らない子がいたら、どうするんでしょうね。ちょっと心配でした。

 

また、私は教科書は「地図」であり「ガイドブック」と考えています。子供達はそれを見ながら目的地に向かいます。これまた心配なのが、地図やガイドブック載っていない目的地を示す方も居るような、居ないような。子供達は一生懸命に地図を見ているのに、そこに目的地が載っていないんじゃないの!?と心配なのです。載っていない場所を目指させることは反対しません。ガイドブックに頼らず、自分で行き方を調べるという学習もあるでしょう。だったら「この目的地は、この地図に載っていない」と言わなきゃいけません。

さらに心配なのは、その場所が存在しないこともあったりして。
「本当にそんな場所はあるんですか?」
「ある。私の頭の中にな!」

なんて感じだったら、子供達はたまったもんじゃないでしょう。


ただ、旅慣れてくると、ガイドブック通りに旅をしても楽しくありませんよね。そこで、複数のガイドブックを組み合わせて旅をさせるのが「インタラクティブ・カリキュラム」です。「ガイドブックを組み合わせる旅行プラン」のことを、みゆき会の3人は最近「学びのカリキュラム・マネジメント」と呼んでいます。

それに、「旅行者だからこそ分かるもっと良い地図やガイドブックを作る」っていうのも面白そうですよね。『学び合い』における「自分達で教科書を作る」「参考書を作る」という学習がこれでしょう。

 

長くなったので、これくらいにしておきます。

ということで、単元レベルで授業を組み立てる時は「細かい行程」を指示するようなことをしても無駄なんです。旅が長くなればなるほど、予定どおりになっていかないことが増えるでしょうから。