『学び合い』 流動型『学び合い』 学びのカリキュラム・マネジメント アクティブ・ラーニング

nao_takaの『縦横無尽』

小学校教員なおたかのブログです。『学び合い』(二重かっこ学び合い)を実践しています。単著「流動型『学び合い』の授業作り」を上梓しました。お手に取っていただければ幸いです。

すぐに伸びるはずがない。

つづきです。

私が師と仰ぐY先生は、附属小でも名を馳せた算数の「名人」です。私が一緒に働いた方の中では断トツの授業名人だと思います。

そのY先生と一年間、算数の授業でT・Tで授業をしました。私がT1。Y先生は、T2であると同時に、指導教官でもありました。授業が終わると毎回ダメだしです。時にはメタメタに斬られ、極たまにだけ褒められました。

Y先生に斬られながら、私は毎日考えていました。Y先生には「子供達をここまで育てよう」「子供達はここまでできるはずだ」と高い水準を要求されました。そして、「それができないのは、お前のせいだよ」と言われていました。それは分かっていましたが、Y先生の要求水準は、当時の私にしてはめちゃくちゃ高く、そう簡単に出来そうにありませんでした。

どうやったら、そこまで子供達を高められるのだろう。

私が出した結論は、「一回の授業じゃ無理!」でした。
そして「単元構想」という言葉の意味がやっと理解でしたのです。

簡単に言えば、「45分の授業で、すぐに子供達が育つわけがない」のです。Y先生からの助言はいつも、一単位時間でどうこう、というものではありませんでした。
「こういう導入をすると、前の時間の学習が生きるからやってみろ」
「あれをちゃんと強調しておかなかったのは失敗だな。多分、後の時間で子供達が困るよ。どうフォローするか考えておけよ」
「あの場面であの意見を取り上げたのは良かったね。きっと後の学習で子供達が使うよ」

「今日の授業が良かったのは、あの布石があってのことだね」
一単位時間Levelでしか考えられなかった私のために、その「次」の話をしてくださっていたのです。


45分でできるようになることなんて、たかが知れているのです。
45分ではできるようにならない場合も多いのです。
当たり前ですよ。
その当たり前のことをちゃんと受け止めて、その上で授業を考える。そういう視点をY先生のおかげで持てるようになりました。
確か、これが教員五年目だったと思います。年齢で言えば、28歳くらいですね。その後の数年間は、この「単元Level」で授業を考えていました。ある種の「力」を育てようと思ったら、繰り返しが必要です。筋力が1回の運動で身につかないのと一緒ですね。

が、30歳を超えて、ある日、閃いたのです。きっかけは「せっかく身についたと思っても、学力テストまでに忘れちゃうんだよなあ」と悩んでいたことです。教員10年目のことだと思います。

ありませんか?勉強が苦手な子が一所懸命頑張ってできるようになったことなのに、学力テストの頃にはすっかり忘れている、そんなことが。ああ、もったいない!

かといって、テスト直前に既習事項を全て学習し直すなんて、現実的ではありません。じゃあ、どうするか。

そこを考え抜いて、やっと「年間Level」で授業を考えられるようになりました。

 

つづく