『学び合い』 流動型『学び合い』 学びのカリキュラム・マネジメント アクティブ・ラーニング

nao_takaの『縦横無尽』

小学校教員なおたかのブログです。『学び合い』(二重かっこ学び合い)を実践しています。単著「流動型『学び合い』の授業作り」を上梓しました。お手に取っていただければ幸いです。

学校を襲うトリプルパンチ

とあるご依頼を頂いて、考えていました。
日本全国の学校が苦しいとは思いますが、私の勤務地周辺は何に苦しみ、どうやって解決していけばよいのでしょうか。

私の勤務地周辺の学校は、以下のようなトリプルパンチに襲われています。
一発目は、「いびつな年齢構成」です。
福島県の教員平均年齢は、50歳だと聞いたことがあります。夏にとある研究会で見たデータによると、福島県某市の教員は、20代が5%、30代が6%、40代が19%、50代が62%、60代が2%だそうです。60代というのは、今年度で退職する方に加えて、再任用の方も含まれているようです。
私は「平均年齢が高いことが問題だ」なんてことは全く考えていません。ベテランの先生がゼロだったら、それも苦しいです。問題は「年齢構成」にあるのです。年齢構成がいびつな結果、学校には様々な問題が生じているのです。

 

二発目は、「児童数の激変」です。
津波原発事故の影響で、人々の「住まい」が大きく移動しました。
ある学校では、児童数が震災前の半分程度に減ったそうです。これは、校舎の移転等が行われていない学校です。校舎が避難区域になっていて「仮校舎」で授業を行なっている学校だと、もっと減っているという話も聞きます。学校も減っていきます。福島県全体で見ると、平成27年度は前年度と比べて小学校が10校、中学校は5校減っているそうです。(福島県 平成27年度学校基本統計より)
一方、どーんと増える学校もあります。私は前任校で、転校生が一気に4人来たことがあります。18人の学級が22人になりました。約2割増です。こんな感じで、児童数がどーんと増える学校や学級もあります。
減ることも、増えることも、どちらも大変なのです。

 

3発目は、「新しい指導事項の増加」です。
震災の後、少なく無い教員が「これで学校は変わらざるを得ない」と感じたものです。私は震災によって「学校は命を守る最後の砦なのだ」と実感しましたから、これからの学校がどうあるべきか、超多忙な中で必死に考えたものです。
しかし、震災後2年目くらいから「通常通り」という言葉が、使われるようになりました。「学校を震災前の状態に戻しましょう」という意味です。「通常通りの授業を」「通常通りの行事を」と言われ、例えば、「今までは外での活動を制限されていたけれど、通常通りにしましょう」「運動会も通常通りの内容にしましょう」というように使われました。震災後は、学校を変えるどころか「震災の前の学校に戻すこと」が至上命題になったのです。
こうして、あっという間に学校は「震災前」に戻されました。ほとんど変わることなく。
ただし、何も変わらないわけではありません。たんまりとプラスされたものがあります。例えば、放射線教育。確かに必要でしょう。津波を想定した高台までの避難訓練。必要ですね。引き渡し訓練も、やっぱり必要ですね。防災教育も当然、必要ですね。また、福島の子供達は自然体験が不足しがちなので、宿泊体験活動も奨励され、実施学年を増やした学校も少なくありません。
どれもこれも必要なのは間違いないのですが、ざっと数えて20時間以上の時数が「今まで通り」の上に積み重なったのです。

 

 

これらのトリプルパンチは強烈で、学校はノックアウト寸前。ヘロヘロなのですが、けれども、あがなうことは不可能ではありません。
じゃあ、どうするか。
私は、『学び合い』なら何とかなると思っています。


こんな大変な状況に一人で立ち向かっても勝てるわけがありません。だから、「みんな」でやるしかないのですよ。みんなで力を合わせて、課題を克服する。それこそが『学び合い』でしょう。
私は『学び合い』のおかげで、何とか倒れずにすんでいます。


震災後のことを振り返っていたら、ちょっと苦しくなってしまいました。本当に苦しい日々でした。そして、その苦しさは現在進行形です。
一人で何とかしようとしたら、絶対に負けます。
私は心から思うのですよ。『学び合い』しかないって。