『学び合い』 流動型『学び合い』 学びのカリキュラム・マネジメント アクティブ・ラーニング

nao_takaの『縦横無尽』

小学校教員なおたかのブログです。『学び合い』(二重かっこ学び合い)を実践しています。単著「流動型『学び合い』の授業作り」を上梓しました。お手に取っていただければ幸いです。

浮き彫りになる

四月に『学び合い』を始めたばかりの時期は、とても辛いモノがあります。それは、色んなことが浮き彫りになるからです。

例えば、なかなか仲間に入れない子。数人のグループに分かれていく中で、最後まで一人ぼっちの子を見ていると、胸が潰れそうになります。また、勉強が苦手な子が問題ができていないのを隠している姿や、できていないことにも気づきていない姿を見ると、切なくなります。

『学び合い』をやれば、そういう問題がたちまち解決するわけではありません。むしろ、そういう姿が余計に目立って、集団のマイナス面がはっきりと見えるようになるのです。

 

ただ、これに対して

「だから、グループは教員が決めた方がいい」

「だから、教員が説明した方がいい」

と主張する人がいると「本気で言っているんですか!?」と驚きます。だって、その子が一人なのも勉強が苦手なのも、今まで、教員がグループを決めたり、学習内容を説明したりする指導を受けてきた結果なのですから。そこはちょっと考えて、何かを変えて欲しいなあと願います。

 

だからと言って、『学び合い』をやれば解決ですよー、と気楽に言うのも違うと思います。

 

一人の子や勉強が苦手な子が救われるには、集団が「そういう子と繋がるのは、自分自身にとって得だ」と気づくなくてはいけないのです。

一人の子と繋がることが、自分自身にとって得。勉強が苦手な子と繋がるのは、自分自身にとって得。

え?なんで?勉強ができる子と繋がるのは分かるけど、苦手な子と繋がっても得なわけないじゃん。と教員が思っていたら、『学び合い』は難しいんじゃないかな。

 

子供達と度々こんな話をします。

「予習で1回目、授業で2回目、レポートを書いて3回目、家で復習して4回目、友達一人に教えて5回目、もう一人に教えて6回目。同じ勉強を6回も7回も勉強するんだから、そりゃあテストもできるでしょ?」

だから、教えるのが得。繋がってると得。そんな話です。

こういう話を「聞いた話」ではなくて、自分の実感として子供達に伝えていくことで、浮き彫りになった「集団のマイナス面」を子供達自身が消していける集団へと変化していくのです。

 

『学び合い』では定番の「黒板に氏名のマグネットを貼り、自分が分かったらオッケーの中に移動させる」というきまりも、やっていいのは最初じゃないでしょうか。この方法は「できない子」を浮き彫りにします。それが何か月も解決されないでいたら、「その子」が個人的に解決するしかなくなってしまいます。例えば、分かったふり。これならまだ良いのですが、「俺は分からないんじゃなくて、やる気がないだけだから」というポーズをとるのも少なくないでしょう。だから、マグネットが数か月も必要になっているなら、何かを見直した方がいいんでしょう。もしくは、本当はもう必要なくなっているのに、教員が続けている場合もありそうです。

私は数回やったら、「マグネットなんてなくても、誰が分かって誰が分からないか自分達で探せるでしょう?」と言います。自分達で探せる集団になって欲しいからです。

まあ、それが本当の意味で可能になるには、数か月はかかるんですけれど。