『学び合い』 流動型『学び合い』 学びのカリキュラム・マネジメント アクティブ・ラーニング

nao_takaの『縦横無尽』

小学校教員なおたかのブログです。『学び合い』(二重かっこ学び合い)を実践しています。単著「流動型『学び合い』の授業作り」を上梓しました。お手に取っていただければ幸いです。

話を聞く指導

今年度の始めに、私が悩んでいたとこがある。それは「話を聞きなさい」という指導をどう行うか。今年度の子供達は、例年以上に「話を聞くこと」へと合意形成が難しかったのだ。

 

教員が話をし、子供達が「ちゃんと」聞く。

これを「躾」とか「学習訓練」などと表現する人もいる。繰り返し指導することで、出来なかったことが出来るようになっていく、そんなイメージなのだろう。

だが、私には、子供達が話を聞くことを、躾や訓練とは思えない。
それは、子供達は元々話を聞けるのだ、と感じているから。話を聞くのが苦手だと言われる子供でも、実はちゃんと話を聞けるものだ。特に新年度の始めには。それを徐々に「しなくなる」のだと思っている。子供達は意図的に聞いていないのかもしれない。
言い換えるなら、「話を聞かない」というのは一種の意思表示なのだと思う。


少なくとも、今年度担任している子供達に関しては、4月当初「話を聞かない」ことで、教員とか学校に対して、何らかの意思を表明しているように感じられた。だから、「聞け!」と言ってもそう簡単には聞かない。
こっちが本気で話せば聞いてくれる、なんて甘ったるさもない。もちろん、気持ちがこもっていないよりはこもっているいる方がいい。でも、こちらが本気だからこそ、一部の子からは余計に、聞いてやるものか、という反発も感じた。
話術を磨けば聞いてくれる、なんて簡単な話でもない。もちろん、つまらない話し方よりは面白い方がいい。でも、面白おかしく話をすればするほど、一部の子からの冷めた目にも気付いた。

じゃあ、どうするのか。
難しい学級だったからこそ、『学び合い』のセオリーどおりに行った。それは、「話を聞いてくれる子を少しずつ増やしていく」ということ。
まずは、学級の2割に「高橋の話は聞いてやってもいいかも」と思わせるように、練って練って話をする。そして、とりあえず聞いてくれた2割が「なるほど。高橋の言っていることはもっともだぞ」と納得してくれるかどうかが、最初の勝負。
その2割が聞いていることで「どうやら高橋の話は聞いておいた方がいいようだぞ」と6割の子も聞いてくれた。
そして、残りの2割は「俺は本当は聞きたくない!」という態度を取りつつ、もしくは無関係そうな顔をしつつ、何となく聞いている。少なくとも、邪魔はしない。

そういう状態を作っていくのが『学び合い』のセオリーだ。この「少なくとも、邪魔はしない」というのが簡単なようで極めて難しい。

最初の2割が聞いてくれるには、「気持ち」も「話術」もあった方がいい。そして、世の中に広まっている「教員の指導技術」は、ほとんどがこの「最初の2割に聞かせる話」だ。最初の2割が話を聞けば、一応は「学級の体裁」が整う。だから、この手の指導に対するニーズが高いのだろう。
そして、最初の2割が教員の味方で居続けていくれれば、6割も味方になってくれる。
がしかし、残りの2割が「少なくとも邪魔はしない」ようになってくれるかどうかは、本当に難しい。そこから一歩進んで「わずかでも協力してくれる」存在になるのは、ますます難しい。少なくとも、私程度の力量じゃ数か月かかる。

ということで、2学期までかかって、私のクラスでは、2割の子が私の話を積極的に聞いてくれて、6割の子が一緒に聞いてくれて、残りの2割は消極的にだけれど聞いてくれるようになった。「先生の話は一応聞く」という合意形成。私が話を始めると、取り敢えずは聞いてくれる。

が、冬休み明けには、「2歩下がる」状態に戻っているだろう。もちろん、振り出しに戻るってわけではないが、長期休業のあとは、合意形成のやり直しが必要だなあと思う。

始業式にどんな顔で子供達の前に立ち、第一声をどうしようか。今のうちから、ちょっと考えている。まあ、基本は笑顔。笑顔って単純だけれど、大切だなあと強く感じている。