繰り返しのある単元構成について、いくつか具体例を挙げて書いていこうと思います。まずは2学期に私が実践した国語「書くこと」の授業です。
単元名:組み立てにそって書こう 「たから島のぼうけん」
教科書の構成では、
- 地図と絵をもとに、物語に書く「出来事」を想像する。(取材)
- 想像したことを、はじめ・中・終わりの表にまとめる。(構成)
- 各段落の中心となる出来事を詳しく膨らませながら書く。(記述)
- 自分の作品を読み直し、書き直す。(推敲)
- 友達と作品を読み合う。(交流)
という流れで8時間で一つの作品を書くことになっています。が、私は8時間で複数の作品を書かせたいと考えました。一つの作品を書くだけより、何度か書いた方が「書き方」が身につくと考えているからです。
そのために、私は次の方策を考えました。
- 物語の素になる絵を三種類用意し、自分が書きやすそうなものを選べるようにする。<選択制>
- 想像したことを書くワークシートを用意し、はじめ・中・終わりの構成を感覚的に理解できるようにする。<簡略化>
- ワークシートにはいくつか「質問」を書いておき、それに答えることで物語の骨格が決められるようにする。<手掛の提示>
- 本単元では推敲と交流の時間は少なめとする。<重点化>
これによって、児童が、「取材・構成・記述」の3つの指導事項について繰り返し学べるようにしたのです。具体的にはこんな流れ。
- 地図と絵をもとに、物語に書く「出来事」を想像する。(取材)
- 想像したことを、はじめ・中・終わりの表にまとめる。(構成)
- 各段落の中心となる出来事を詳しく膨らませながら書く。(記述)
- 友達と作品を読み合い、間違いを直したり、感想を交流したりする。(推敲・交流)
- 1作目の反省をもとに、2作目の目標を決める。
- 地図と絵をもとに、物語に書く「出来事」を想像する。(取材)
- 想像したことを、はじめ・中・終わりの表にまとめる。(構成)
- 各段落の中心となる出来事を詳しく膨らませながら書く。(記述)
- 友達と作品を読み合い、間違いを直したり、感想を交流したりする。(推敲・交流)
- 時間があれば、3作目に進む。
さすがにこれを8時間では難しかったので、「学びのカリキュラム・マネジメント」で捻出した時間の中から2時間を使い、合計10時間で実施しました。「学びのカリキュラム・マネジメントについては、こちらを)
子どもの書く力が飛躍的に伸びる! 学びのカリキュラム・マネジメント
書くのが苦手で時間がかかり、一つの作品しか書けない子もいました。私はそれでも良いと考えています。複数書くか、一つ書くか。それも児童が選択できることを大切にしたいのです。また、長く書くのが苦手なある子は、一つ一つは短いものの「はじめ・中・終わり」の構成で、「登場人物の心情や場面の様子が伝わるように書く」という単元のねらいに沿って3つの作品を書くことができました。1作目には会話文を使えていなかった子には「次は会話文をいれてごらん」と助言をすることで、2作目には会話文を入れて書くことができましたし、書くのが得意な子は、数枚にも及ぶ大作を書いていました。中にはシリーズ物を書いたり、情景描写を入れたりなど、こちらの想定を超える活動をしていました。
児童がこちらの想定を超える学びを作っていけるのも、繰り返しのある授業の良いところです。