昔々、まだ20代だった時のことです。私はある子をこう褒めました。
「あなたが一番頑張ったって、先生は分かっているよ」
それを聞いて、別の子が怒りました。
「じゃあ、私たちは2番以下ですか?」
私は自分の過ちを認め、平謝りするばかりでした。
それからは、「1番すごい」とか「今まで見たことない」というような「比べる褒め方」をしないように心掛けています。それは、一人の子を褒めていても、他の子を傷つける危険性があるからです。今でも時々やってしまいます。面と向かって文句を言われたことは、あれ以来ないのですが、でも、私の気づかないところで、傷つけている可能性もあります。
比べる必要なんてないのに、なぜ比べてしまうのでしょうか。「すごいね!」「素敵だね」だけで十分なはずなのに。きっと私の中の「他者に勝ったら嬉しい気持ち」がそうさせるのでしょう。まだまだ修行がたりませぬ。