『学び合い』 流動型『学び合い』 学びのカリキュラム・マネジメント アクティブ・ラーニング

nao_takaの『縦横無尽』

小学校教員なおたかのブログです。『学び合い』(二重かっこ学び合い)を実践しています。単著「流動型『学び合い』の授業作り」を上梓しました。お手に取っていただければ幸いです。

見えない選挙

学級があまり良い状態でない時、多くの人はその原因は「特定の子」にあると考えます。
例えば、「A君が騒ぐから他の子も一緒になって騒ぐのだ。このクラスが騒がしいのはA君のせいだ」と考えたり、「Bさんは周囲に意地悪をして困る。Bさんの影響で、周囲も意地悪をするようになった」と考えたり。
「指導をしても、少しも言うことを聞かない。困った子だ」
表立ってそんなことを言う教師は居ません。でも、言葉の端々にそういう考えが透けて見えることは多々あります。
でも、そういう「困った子」が、担任が代わったらあっと言う間に落ち着く場合があります。
逆に、今まではしっかりと学習し、生活できていた子が、担任が代わった途端に新しい担任の言うことを聞かなくなる場合があります。


なぜこういうことが起こるのでしょう。


わたしは、「見えない選挙」の結果だと思います。


現実の選挙では、投票の結果、得票率が100%ではなくても当選することができます。しかし、0%でない場合でも、ある程度の票を得ないと落選です。


学級では、子供達は無意識のうちに、担任に対して選挙を行っています。得票率が100 %である必要はありませんが、でも、有る程度の支持がないと、担任として落選なのです。これは、現実の選挙と一緒です。
担任として当選ならば、担任を支持していないヤンチャ坊主やオマセな女の子も担任として接してくれます。自分が好きではなくても、周囲の大多数の子が担任として認めていたら、一応は担任として認めるしかないのです。自分が投票していなくても、市長は市長ですもんね。それと同様です。
わたしのクラスだってそうです。
「高橋が担任で嫌だな」と思っている子も居るでしょう。
そりゃそうです。居ていいです。でも、全体として「高橋が担任でもいいんじゃない?」という得票が上回っているから(もしかしたら、それは僅差で辛うじての勝利かもしれないけれど)、子供達はわたしを担任として認めてくれているのです。



逆に、落選と判断された教師の言うことは、ヤンチャ坊主達は聞きません。一部の子供(支持してくれている少数派)は教師の言うことを聞いていても、大多数が聞いていないのですから、不支持派は担任だとすら思っていないのです。
そういう状況を打開できずに右往左往している担任を見ていると、支持派もどんどん減っていくことになります。



ですから、担任が学級を統率できていない場合には、担任不支持派であるA君やBさんを攻略することが大切なのではありません。というか、不支持派がコロっと変わることは稀です。それを求めるから失敗するのです。
一般的には多くの「無党派層」の支持を得ることが重要なのであり、支持を拡大するために、自分の支持基盤をしっかりとすることが必要なのです。そうやって、見えない選挙に勝つことが必要なのです。選挙に勝てば、他の子も一応は、担任として見ます。


じゃあ、どうすれば自分の支持基盤を盤石にして、多くの無党派層を引き込み、見えない選挙に勝てるのでしょうか。


多分、必勝法はありません。
でも、見えてきたものはあります。その辺りはまた後日書いていきます。