『学び合い』 流動型『学び合い』 学びのカリキュラム・マネジメント アクティブ・ラーニング

nao_takaの『縦横無尽』

小学校教員なおたかのブログです。『学び合い』(二重かっこ学び合い)を実践しています。単著「流動型『学び合い』の授業作り」を上梓しました。お手に取っていただければ幸いです。

市長を育てる

最近、複数の方と
「『学び合い』において勉強に取り組まない子がいる場合に、どうするのか」
という話題で意見交流しました。
『学び合い』だとほとんどの子が学習に取り組みます。一斉の授業よりもやれない子は減るでしょう。でも一方で、やらない子が非常に目立つのも『学び合い』です。ですから、そういう子の存在は『学び合い』を安定して続けていく上で、一つのポイントになるでしょう。


わたしは『学び合い』で安定的&継続的に学級経営と授業経営を行うには、人生Levelの語りが必須だと思っています。
そんなことを考え始めたはいつ頃でしょうか。思い出すために自分のブログを検索してみたら、2年ちょっと前にこんなことを書いていました。
多分、このころから「人生Level」を意識して『学び合い』に取り組むようになったのだと思います。


学習に取り組めない子がいる場合に、
「分からない人に教えてあげましょう」
という「徳」を語っていた時は、徐々に子供達の“教える意欲”は下がっていくのを感じました。人の為というだけでは、なかなか長続きしないのでしょうね。
「人は、ただ聞くよりも教える方がよく覚えるんだよ」
という程度の「得」も、長続きしませんでした。なぜなら、勉強が得意な子は、そこそこ教えれば100点取れるからです。誘ってもやらない子を動かすほど熱心に教える必要がないのですね。
難しい課題を与えることも有効です。難しい課題だと、少数では解決できないので、大きな渦の中で知らず知らずに多くの子が巻き込まれますから。けれど、そういう課題を出し続けるのはなかなか難しいものです。また、その渦からも離れている子がいたら、結局は問題は解決しません。


やっぱり、語るしかないのだと思います。
じゃあ、なんて語るのでしょうか。


わたしは、こういうケースで語るいくつかのパターンがあります。
まず、「現在Level」の言葉かけとしては
「先生が気付いているということは、みんなも気付いているでしょう?」
というのがあります。分からない子がいることに、誰かしら気づいています。少なくとも、『学び合い』を2週間くらいやったクラスなら気づくと思います。(わたしの経験則です。)大抵は、これで何人かが誘ってくれます。これで動いてくれればいいのですが、でも、これでも取り組めないままの子もいるでしょう。ちょっと声をかけられたくらいじゃ動けないくらい心が傷ついている子も大勢いるでしょうからね。
次に、「数年Level」の言葉かけがあります。
「次の学年(中学校)で困った時に助けてくれるのは、現在仲良しの人とは限らないよ」
という話です。わたしの勤務校の子が中学校進学後は計算上、3〜4人くらいずつにバラバラになります。中一ギャップの話や、わたしの過去の教え子の話も交えて、このクラスに居るうちに全ての子と繋がっておく必要性について教えるのです。
そして、「人生Level」でも語ります。
それは
「あなた達が将来、課長になり、部長になり、社長になった時、どうやって部下を動かすの?その方法を、今から学ぶんだよ。それが将来本当に役に立つ勉強だよ」
「リーダーというのは、全員の幸せを本気になって考えられる人だよ。先生が、『みんな幸せになって欲しい。でも、○○は幸せになれなくても仕方ないや』なんて思っていたら教師失格でしょう?みんなの中から、将来は社長や市長が育つことを先生は願っている。先生以上のリーダーが育ってほしいんだよ。だから、みんなの幸せを実現する勉強をして欲しい。先生が本当にして欲しい勉強は、50年後にも役立つ勉強なんだよ」
なんて語りです。
こういう語りを恰好だけではなく本気で語れるようになってから、やっと「一人も見捨てない」を心底求められるようになってきました。
人生Levelで語るからこそ、「学び続ける」というキーワードがより重要になってきます。人生Levelで成長するためには、学び続けることが不可欠ですもんね。


まあ、このLevelで語る小学校教師はそれほど多くないというのが最近分かってきました。
仕方ないで、最近は「変態」と呼ばれても我慢するようにしています。本気で願うと気持ちいいんですけどねえ。
(「総理大臣を育てる」と言えていない辺りが、わたしがまだまだ甘いところです。それを本気で言ったら、自分でも変態だと思います。)