私は、多くの教え子が「地元」に残って欲しいと思っています。と言う私が故郷を離れて暮らしているのですけれど、だからこそ、生まれ育った場所で生きることが羨ましくなります。
教え子達が数年後、数十年後に、この地で幸せに生きていくためには何が必要でしょう。
私が想像できることは
- 自分+αが食べていける仕事を生み出せる「トップランナー」がいること
- そのトップランナーと繋がり、支え、補完する「仲間」がいること
- その仲間と生涯に渡って付き合っていける「折り合いのついた関係」が結べていること
- その輪から漏れた人間も見捨てない最低限の繋がりがあり、それがある種の「相互補助的な保険」として機能すること
こんなところです。
学力向上に反対する気持ちは皆無ですが、行政の方々には学力向上以上に「繋がり」の大切さをもっと深刻に捉えて欲しいと願っています。愛校心も、地元愛も、今の学級が好きじゃなければ、育つはずがありません。
また、学力が高い子が地元に帰ってくるような「仕組み」が必要でしょう。優秀な子が有名大学に合格したことを、ただ喜んでいて良いのでしょうか。そういう優秀な子が戻って来るためには、工場の誘致ではなく、そういう子が起業できるような仕組みがあればいいのに。
そして我々も、もっと「仲の良い学級を作る」ということを真剣に捉えるべきです。仲が良いとは、楽しく遊ぶというだけでは不十分です。将来的には、一緒に働ける人にならなければいけないのですから。
小学校を卒業する子供たちが6年後、10年後にどんな人生の選択をするのか、公立校の教員だからこそ、真剣に考えたい。
あの日から、もう6年。そんなことを考えて過ごしました。