理科の場合も、昔々から力のある教員は、繰り返しのある単元構成を行なってきたことでしょう。
学習指導要領解説では次のような文言が何度も出てきます。
……生活科の学習を踏まえ,身近な自然について児童が自ら問題を見いだし,見通しをもった観察・実験などを通して問題解決の能力を育てるとともに,(以下略)
小学校学習指導要領解説 理科編 P5改善の具体的事項 より一部抜粋
少々強引にまとめると、「問題を見出したら、答えを予想してから、実験や観察をする。その後に話し合って結論を出す」という流れです。
3年生の3学期の理科は「磁石」の学習です。最初に磁石を近づけてはいけないものについて説明してから、導入として私が片手に磁石を、片手にクリップを持ち、二つを近づけながら聞きました。
「どうなる?」
子供達は
「くっつくー!」
と元気に答えます。が、私はやりません。その後に紙を手にしました。
「どうなる?」
「つかない」
私はやりません。あんまりやると興味のない子にはきついので(どんなに盛り上がっていても、興味のない子はいるものです)、
「じゃあ、ちゃんと予想をしてから実験しよう」
と指示を出し、予想をしっかりと書いている子を大いに褒めてから実験を開始しました。そして、子供達の実験が終わりそうなころに
「ひとつだけ教えさせて」
と伝えて、「“くっつく”と“引きつける”の違い」をセロハンテープを例に話しました。どうしても授業の中でこういう場ができてしまうんですよね。それが今の課題。
次の時間は、私が片手に磁石を持って、釘を2本つけます。分かっている子が
「これ、磁石を取ってもくっついてるんだよ」
と言います。私は
「本当に?」
と聞きました。これまた分かっている子は
「そうだよ。磁石にくっつけると釘が磁石になるんだよ」
と言います。私は
「本当に?」
とまた言います。
これで私なりの「問題を見出し」は終了です。問題を書いたら(鉄の釘は磁石につけると磁石になるのだろうか。)子供達は予想を書き、教科書を見ながら実験を進めます。これだけで済むのは、前日にも同じ流れでやっているからです。
私は
「ちゃんと結果も書けてるね」
「まとめも書けるかな?」
とブラブラしながら見ていました。
今年のクラスは、私が担任じゃなくなった時のことを考えて、ちょっと「丁寧に」授業を進めています。が、それでもこれくらいは任せられています。