私は度々「ここはあなたの家じゃないからね」と子供たちに伝えている。勝手な振る舞いや言動を嗜める時によく使う言葉だ。学校と家庭の連携は重要だが、線引きは必要だというのが私の考えである。
そこに、私の「教室の管理者としての都合」があることは否定しない。極端な例で言えば、家庭で「やられたらやり返せ!」と言われて育てられている子にも「ここはあなたの家じゃないからね。ここは学校だから、社会の一部だから、社会のルールに従おうね」と指導できる。
でも、この言葉にはもう一つの意味を込めている。「ここは家じゃない」という言葉は、私の「全員を伸ばすぞ!」という決意表明なのだ。世の中、色んな子がいる。色んな家庭がある。それを「できないのは自己責任」などと言わず、「学校とはあなたがどこの誰でも成長できる場なのだ!」という思い。
と書くと「教員はみんな頑張っている」「子供を伸ばしたくない教員はいない」と反論がくる。でも、多くの場合「努力目標」止まり、と言ったら怒られるだろうか。それを教員の使命として考えているだろうか。「あの子は仕方ない」と言わず全員を本気で目指せているだろうか。
私にはそうは思えないのである。