『学び合い』 流動型『学び合い』 学びのカリキュラム・マネジメント アクティブ・ラーニング

nao_takaの『縦横無尽』

小学校教員なおたかのブログです。『学び合い』(二重かっこ学び合い)を実践しています。単著「流動型『学び合い』の授業作り」を上梓しました。お手に取っていただければ幸いです。

わたしたちのきょうしつ

読もうかどうかちょっとだけ迷いつつ、昨日のもやもやを吹き飛ばすために、この本を拝読しました。

みんなのきょうしつ

みんなのきょうしつ

 

言わずと知れたゴリさんの新刊です。

なぜ迷ったのかというと、怖かったのです。

私の教室を見てくださった方から、「高橋の学級は、岩瀬学級と雰囲気が似ている」と評して頂いたことがあります。それは非常に光栄なことなのですが、でも、似ていると言われたからこそ、余計に「違い」が気になってしまいます。高橋学級と岩瀬学級の「違い」を「差」だと捉えてしまいそうな自分が嫌だったのです。このニュアンスが通じますでしょうか。「差」があるのが嫌なのではありません。違いがあるのは当然なのに、それを「差」だと考えて自分がぶれるのが怖かったのです。

この本は“岩淵学級”を舞台にしたフィクションという形にはなっていますが、岩瀬学級のエッセンスがたっぷり詰まっている本と聞いていたので、「違い」を正しく受け止めるための心の準備をしてから読みました。

 

さて。読んでみると。

ああ、なるほど、と思いました。

なぜ「似ている」と言っていただけるのかが分かりました。色々なエピソードが私の経験と大きく重なりました。

例えば、メダカのエピソード。私も怒りで心を乱し、判断を誤り、子供達に謝ったことがあります。(私の場合は、他の方への失礼な態度に対する「怒り」でしたが)その時の謝るまでの過程と本書があまりにもそっくりで、読んでいて笑ってしまいそうでした。

また、「約束は守らなければならない?」のエピソードもそうです。「子供達の判断」と「約束」というか「課題の締切」というか。その狭間で揺れる“岩淵先生”の気持ちは手に取るように分かりました。

それに、岩淵学級のブッククラブの雰囲気は、きっと私のクラスがレポートを書いている時とそっくりだろうなと思います。他の学習もそうです。自立チャレンジタイムは、私の「1~6校時、自分で考えてやる日」ととっても似た空気でしょうね、きっと。

 

心配していた「違い」の面は、予想に反してすんなりと受け入れられました。なぜなら、違っていなかったからです。

岩淵学級は、学級を形作る活動としてPAを行います。私の場合は「そんなのは教科の勉強で十分じゃん」と思っています。方法は違っていても、「児童自身が学級づくりを引き受けられるはずだ」という思いは一緒なのだと感じました。それを行うために、岩淵先生はPAの方が効果的だと判断しているのでしょうし、私は教科の方が時間を確保しやすいからそうしているのです。実際に、岩淵先生が時間確保に悩む描写も出てきますね。私だって、PAの効果を否定するつもりは毛頭ありませんから。

「気になる子」への接し方も違っていたけれど、違っていませんでした。私は「気になる子」へは声を掛けたくないと思っています。岩淵先生は私よりも関わることに積極的に感じました。じゃあ、私は何もせずに放っておくかというとそんなことはありません。十数名という小集団だとどうしても教員の出番がゼロにできず、出ざるを得ない時がありますから。

他にも「マラソン」の練習への考え方なんかも違っているようで同じでした。「教室リフォーム」のように私が真似させて頂いていることもあります。

やっぱり似ているなあ。

読み終わって、ちょっとほっとし、そして嬉しくなったというのが正直な気持ちです。

 

なんて、「天下の岩瀬直樹」を相手に私なんぞが「似ている」なんていうのは失礼極まりないですね。でも、尊敬する岩瀬さんの本の感想ですので、本心を書かせていただきました。

それに、本当は私もこういう本を書きたかったのです。『学び合い』学級の一年の本。本書は中谷先生の暖かくも鋭い言葉も合わせて綴られていますが、私は「児童」と「保護者」と「卒業生」の言葉も載せて、学級の一年間を紹介したかったんですよね。こんな素敵な本が出ちゃったから、悔しいけれどモチベーションが下がりました(笑)。

 

悔しいので、宣伝させていただきます。

12月8日に私の学級に岩瀬さんが遊びにきてくださいます。

せっかくですから、午後は私の授業を公開したり、岩瀬さんに私の学級を参観した感想を述べて頂いたりする「授業公開」とする予定です。地域の先生方に岩瀬さんのオーラを吸って頂きたいなあと思っています。

その時、「“わたしたちのきょうしつ”は、本当に似ていますね」という話になるのか、「やっぱり違いますね」という話になるのか(笑)。12月が増々増々まっすます楽しみになりました。