変えるには
私が以前担任したクラスに、めちゃくちゃ算数ができる子がいました。算数は本当に得意。テストはほぼ100点です、単元テストも、学力テストも。多分、算数は私よりできます。
その子は、当初は人と関わるのが苦手でした。本人がどう思っていたかは分かりません。でも、周囲からは「ちょっと嫌な奴」と思われていたようですし、そういう言葉を周囲から度々聞きました。
私はその様子を見て、最初のうちは
「この子が『学び合い』を通して、コミュニケーション能力が身につくといいな。その為にも、どんどん算数の時間には説明をさせたいな」
と考えていました。でも、結論から言うと、そうはなりませんでした。いえ、その子は数か月後には、周囲とガンガン関われるようになりました、別人のように。でも、それは私が当初考えていたような「コミュニケーション能力を身につけた」というものじゃありません。だって、その子は変わっていないのです。「賢過ぎて、周囲から見ればちょっと嫌な奴」のまま(笑)。そして、周囲の子の性格が変わったようにも見えませんでした。
でも、確実に何かは変わっていました。
じゃあ、何が変わったのかと言えば、他の子との「関係性」が変わったのだと思うのです。それによって、その子の行動が変わり、生き方が変わったように、私には見えました。
子供達を変えるには、関係性を変えること。
というのが、私が経験から感じていることです。
冬の札幌
また、北海道・札幌にお伺いすることなりました。前回は真夏でしたが、今回は冬の札幌です。
12月16日 第2回インクルーシブ教育セミナー2017師走in札幌(北海道)
今回は「インクルーシブ」のセミナーです。
私は「気になるあの子」をどうやって救うか、悩みに悩んだ結果、『学び合い』にたどり着きました。ですから、私にとってインクルーシブは、ずっと大きな関心事でした。また、震災以降の福島にとって、極めて大きな「課題」となっていることでもあります。
そして、実は私が、教員人生でもっとも苦しんだある出来事とも関わっています。私にとってはまだ「生傷」が残る話ですが、せっかく頂いた機会ですので、包み隠さずにお話しようと考えています。
私にとって「震災」の話はまだまだ冷静に話すのは無理です。福島の人間は皆、そうでしょうけれど、感情的にならざるを得ません。今年の夏に札幌にお伺いした時には、ちょっと遠慮もあって、抑えて話しました。でも、今回は二度目ですので、もっとさらけ出して話せるかなあと思っています。
皆様、宜しくお願い致します。
子供の言葉に耳を傾けるしかない
今日、ウチのクラスの「気になるあの子」が勉強をやめてしまった時に、言われた言葉。
「先生が怒ったから、やだ」
思わず、「きちんとやらないあなたが悪いんだぞ」なんて言葉が出そうになるけれど、でも、それを言ってはいけないのです。それを言ってしまったら、その子の心の扉は閉まってしまうでしょう。
私は、子供達に変わって欲しい。だったら、まずは私が変わること。そのためにも、子供達の言葉に耳を傾けなければいけません。それは、子供達の言いなりになることではありせん。
その言葉の裏にある、言葉にできない想いを汲み取ろうと最大限の努力をする。その上で、私一人では汲み取りきれないという現実を受け止める。それでも、その子を何とかしたいと願い続ける。
そうやって、耳を傾けるのです。
そうすると、
「なんでお前はそんなに駄目な先生なんだ。もう少し良い先生になってくれよ」
そう毎日、言われている気分になります。