『学び合い』 流動型『学び合い』 学びのカリキュラム・マネジメント アクティブ・ラーニング

nao_takaの『縦横無尽』

小学校教員なおたかのブログです。『学び合い』(二重かっこ学び合い)を実践しています。単著「流動型『学び合い』の授業作り」を上梓しました。お手に取っていただければ幸いです。

すぐに忘れる

小学校は、学級担任と担任以外とでは、全く別の仕事だと思っている。私は少しだけ担任を離れた時期(教務主任で理科専科)があるのだが、その時に強く感じた。

学級担任は大変だ。教務主任の仕事は、質的に“難しい”ものも多かったけれど、量としては、人間の仕事量だった。学級担任に戻ったら、これは人間には無理だと感じた。おかしいよね、この仕事量。人外の仕事量だよ。

同時に、担任を離れた時期には、学級担任の苦しさを忘れていたのだと気付き、恥ずかしく感じた。たった1年で忘れたんだな、私。

学級担任じゃない人が、SNSで同僚を貶している投稿を見ると、「ああ、この人も担任の苦しさを忘れてしまったのかもな」と感じる。

 

一方で、今は、担任に戻ったことで、教務主任の時期に感じていた“難しさ”を忘れてしまったことにも気付いた。あの時は毎日頭を悩ませたし、「教育関係者必携」や文科省の通知も真剣に読んだなあ。同僚を守りたかったのよね。

気付いても、一度忘れたものは、なかなか思い出せない。

やっぱり、すぐに忘れてしまうんだ、私は。

正解が正しいとは限らないのだ。

今の私を見ていただければ想像が着くだろうけれど、私は本当に駄目な初任者だった。
朝から子供と遊び、放課後は部活の指導。授業は、試行錯誤と言うより行き当たりばったり。学級経営もグダグダ。周囲にも迷惑をかけてばかり。酷い奴だった。あの時の5年2組の皆んな、本当にごめんなさい。

 

でも、尊敬する当時の教務主任の先生に褒めてもらったことがある。それは、通知票の所見文だ。

1年目1学期の所見文は散々で、最初に出した下書きは、校長に全部書き直しを命じられた。

その理由は、今ではよく分かる。私は、文章を書くことが嫌いじゃないので、「所見文の書き方」みたいな本は一切読まず、自分の感性のままに書けちゃった。だから、使う表現や語彙に「センセーらしさ」がなかったんだな。しかも、当時は下書きも全て手書きだったので、鉛筆で殴り書き。文章を本気で書く時は、頭の回転に手が追い付かない。丁寧になんて書いている余裕はない。それも校長に怒られた。駄目初任者の私は

「読むのはセンセーじゃなくて、保護者じゃねえか!」

「ゆっくり丁寧になんて、文章が書けるかよ!」

と毒付いていた。残念な不正解教員!不適格!

 

けれど、2年目になって、教務主任の先輩に言われた。

「高橋はちゃんと子供を見て、所見を書いているね」

最初はその意味が分からなかった。「子供を見ないで書く」なんてあり得ないと思っていたからだ。ただ、尊敬する先輩に少しだけでも褒められたことが嬉しかった。

 

その意味が分かってきたのは、かなりあとになってからだ。

優秀な先生は「初見文の書き方」の書籍や雑誌を読んだり、先輩の所見を見たりして、早い段階でちゃんと「センセーらしさ」のある文を書く。それができない人は怒られるし、「勉強が足りない」とみなされる。昔の私のようにね。だから、お手本を見ながら書くのが正解。

 

でもさ、お手本を見て書くことと、子供を見て書くこと。私はやっぱり子供たちを見ながら書きたいと思ってしまう。両方同時にやれればイイけど、そういう「やることを増やす」方向性もツラいよね。「どちらも大切」とか簡単に言っちゃう人を、私は信用しない。

 

「正解」を選んで取り組んでいるはずの人が、どんどん苦しくなっているのを、今までに何度も見た。正解が、必ずしも正しいわけではないのよね。不正解多目の教員人生を送ってきた私は、そんなことを思っている。

10月のセミナー

24日の午前中、越後『学び合い』の会で使用するスライドが一応完成しました。
国語科「読むこと」の実践について話します。
単元を通して発問なし、板書三行、単元進行表もなし。でも、モリモリ読む。まだ、本にも雑誌にも書いていない実践です。削れる物はまだまだあるのよねー。
興味を持ってくださった方はぜひ!

第12回 越後『学び合い』の会 2020年10月24日(オンライン・Zoom) - こくちーずプロ


夜は小学館さんのセミナーで話します。
こちらは、昼の話のエッセンス+今後も生き残れる教員像について話します。藤原 友和さんとの対談なので、私自身も非常に楽しみです。小難しい話ではなく、シンプルだけれど、非常に大切な話だと自負しています。こちらもぜひ、宜しくお願いします。

高橋尚幸先生による『学び合い』オンライン講座を10月24日に開催します!|みんなの教育技術