『学び合い』 流動型『学び合い』 学びのカリキュラム・マネジメント アクティブ・ラーニング

nao_takaの『縦横無尽』

小学校教員なおたかのブログです。『学び合い』(二重かっこ学び合い)を実践しています。単著「流動型『学び合い』の授業作り」を上梓しました。お手に取っていただければ幸いです。

教育の本質が分かってないよ!

主任「若手先生、校内研修の件で話があるんだけれど。」

若手「あ、主任先生、おはようございます。」

主任「ああ、おはよう。そうだ、この前貸した本だけれど、どうだった?」

若手「赤い本は読んだんですけれど、緑の本は途中です。黄色の本はまだ開いてもいなくて。」

主任「そうか。黄色の本はとりあえず置いといて、こっちの本を先に読んでみて。これは実践者の声が集まった本だから。」

若手「今度のはオレンジなんですね……。」

主任「きっと勉強になるよ。でね、夏休み明けの研究授業なんだけれど、ぜひ、アクティブ・ラーニングに取り組んでみない?」

若手「僕がですか?」

主任「そうだよ。若い先生こそ、どんどん新しい授業に挑戦すべきだから。」

若手「その授業って、主任先生がやっている授業をやるってことですよね?」

主任「まあ、そうだね。それとも、何かやってみたい授業があるのかな?」

若手「そういうわけじゃないんですけど。」

主任「というと?」

若手「え?」

主任「もっと具体的にいうと?」

若手「ええと…。1学期にも主任先生にすすめられて、ちょっとやってみたじゃないですか。その時、子供達がなかなか主体的に動いてくれなくて。僕にどんどん質問に来たんですよ。だったら、最初に少し説明というか、一斉で勉強する時間をとってから、話し合ってもいいのかな、なんて考えていたんです。」

主任「ちょっときつい言い方だけどね、それは教育の本質が分かっていないよ!本当の教育とは、子供の心に火をつけることなんだから!」

若手「はい?」

主任「子供達の心に火がつけば、ちゃんと動けるようになるんだよ。そのためには、しっかり語ることだね。」

若手「はい。」

主任「語りのことは、この本に書いてあるから、貸すよ。」

若手「はい…。」

主任「あとは?何か心配ない?」

若手「課題もどうすればいいかよく分からなくて。」

主任「ああ、そうだよね。最初は課題に悩むもんだよ。課題で大切なのは、しっかりとゴールを提示すること。揺るがないゴールを示すことで、子供達は安心して学べるんだよ。」

若手「はい。」

主任「ゴールが揺らいでしまうと、子供達は迷ってしまうからね。もしかすると、先生の授業では課題があいまいだったから、子供達が質問にきたのかもしれないよ。」

若手「はい。」

主任「ん?どうした?」

若手「あの…、揺るがないとか揺らぐとか、よく分からないんですけれど、どういうことなんでしょうか。」

主任「ええとね。まあ、簡単に言うと、何をやればよいのかはっきり分かるってことだね。例えば、『算数の教科書P20の問題を全員が解けて、そのやり方を説明できる。』のようにね。」

若手「今度の授業は国語なんですけれど、例えばどんな感じなんでしょうか。」

主任「そうだなあ。『P85から90まで全員が音読できて、文章の意味が分かる。』って感じかな。」

若手「領域は「書くこと」なんですけれど。」

主任「だったら、『学校の自慢についての作文を、2年生にも伝わるように全員が書くことができる。』なんてのはどうかな。」

若手「2年生にも伝わるかどうかって、どうやって判断んするんですか?」

主任「え?」

若手「実際に読んでもらうんですか?」

主任「まあ、そうだな。」

若手「でも、2年生でも読解力の高い子も苦手な子もいますよね。全ての2年生に伝わるように書くんでしょうか。それとも、一人でも伝わればいいんでしょうか。」

主任「う~ん、まあ、全員かなあ。」

若手「全員に伝わるって、あり得ますか?

主任「だったら、一人でもいいんじゃない?」

若手「となると、ものすご~く読解力の高い2年生に伝わる作文と、苦手な子に伝わる作文って、中身が異なりませんか?」

主任「それは、まあ、大体で良いんだよ」

若手「なんか揺らいでますね(笑)」

主任「そういうことが気になるのは、子供集団の力を信じきれていないからだよ。子供達はこの程度のことはちゃんと乗り越えて、しっかりと作文を書けるようになるよ。」

若手「そうなんですかね。」

主任「北海道のある先生のクラスでは、学級全員が原稿用紙何枚も書くらしいぞ。」

若手「主任先生のクラスではどうですか?」

主任「うちのクラス?もちろん、書いているよ。」

若手「そうですか。僕は、そう簡単に任せれば全員書けるとは思えないんです。だから、最初にしっかりと『書き方』の説明はした方が良いかなと。」

主任「でもさ、全員にフィットする『書き方』は存在しないよ?」

若手「う~ん、でも、何もないよりは書きやすいんじゃないかと思うんですよね。」

主任「それに、子供達に任せる時間が減ってしまうと、集団の力を十分に発揮できないよ。」

若手「う~ん、でも、ただ任せると、何もせずにじーっとしている時間が多くなってしまうように思うんです。」

主任「だったら、この本を読むといいよ。そういう時にどうすればいいのかが書いてあるから。」

若手「いや…、いいです。」

主任「いいから、いいから。遠慮しないで。」

若手「は…い…。」

主任「これからの時代は、アクティブ・ラーニングだよ!」

若手「はい…。」

主任「本は読み終わったら返してくれればいいから。」

若手「はい…。」

主任「じゃあ、2学期の授業、がんば…、期待しているからね!」

若手「はい…。」